アタヤ

料理名(日・英・現地語)

アタヤ(日本語)
thé sénégalaise (フランス語)
ataya(ウォロフ語)

食されている国や地域

セネガル共和国、その他西アフリカのイスラム教が浸透した国や地域 (地域:セネガル全域)

この料理って?

アタヤは中東や北アフリカから流れてきたお茶文化で、主にムスリムが淹れるものとして、西アフリカの人びとに好まれています。中国から輸入された緑茶の茶葉が使われていますが、好みに応じてクローブを加えたり、砕いたミントキャンディーで香りをつけたりしています。

材料4~5人分

  • 茶葉適量
  • 砂糖コップ1杯分
  • ミント適量
  • (好みに応じて)クローブなど適量

調理手順

1)ヤカンに水を入れ、温める。
2)沸騰したところで茶葉を加える。
3)煮詰まったところでコップ一杯分の砂糖をいれ、またひと煮立ちさせる。
4)一杯分をコップに注ぎ、もうひとつのコップに注ぎ泡を作る。
5)キメの細かい泡ができたところでお茶を再度ヤカンに戻し、温めなおす。
6)コップに注ぐと完成。
7)完成後も、(4)からの手順を繰り返し、3回ほど淹れる。

フィールドメモ

昼食後や、客人が家を訪れた時、仕事中に一息入れたい時など、アタヤはいろんな時と場所で淹れられます。砂糖をふんだんに使うので、老若男女みなに好まれるお茶となっています。セネガルだけでなく、多くのアフリカのムスリム社会で好まれているアタヤは、西アフリカで広く飲まれています。街中でアタヤを淹れているグループに声をかけられ、一緒にアタヤを飲んだとき、「外国人はワインとかビールとかアルコールをたくさん飲むだろう。俺たちムスリムにとってはアタヤがアルコールだ。これがなけりゃ生きていけない」と言われました。そんな言葉で説明されるほど、アタヤは集いの中で消費され、人びとの生活に根付いています。
 セネガルとフランスを舞台に書かれた小説「大西洋の海草のように」では、このアタヤの「賞味段階」について書かれています。セネガル人作家によって情感豊かに描かれたこの「賞味段階」は、私のセネガルの友人も説明するものでした。以下、本からの引用です。

“お茶はこの地では「アタヤ」と呼ばれ、三つの賞味段階がある。それぞれの段階が、とても長い準備を要する。一番煎じはお茶の量が多く、砂糖は少ない。湯気の立った熱いままのひどく苦いお茶なので、よく慣れた通にしか飲めないほどだ。これは「死のお茶」と呼ばれる。第二段階ではもっと砂糖を入れてお茶の量を減らし、ミントを加えるため、大変快く飲めるお茶になる。口蓋は恋してしまうから、「愛のお茶」と呼ばれる。ところが悲しいかな!喜びは長続きしない。そのおぼろげな思い出が残ったまま、三番煎じとなる。この最終段階では、とても甘く黄色っぽい液体は、お茶の記憶しかとどめていない。これが「友情のお茶」である。”

引用文献:ファトゥ・ディオム著・飛幡祐規訳(2005年)「大西洋の海草のように」河出書房新社

 

この料理に関連した書籍の紹介 :『大西洋の海草のように』

紹介者:池邉 智基