トウモロコシの発酵飲料

料理名(日・英・現地語)

トウモロコシの発酵飲料(日本語)
munkoyo(ニャンジャ語)

食されている国や地域

ザンビア(地域:首都ルサカを含む全域)

この料理って?

地域によって少しずつ作り方や原料が異なり呼び方も変わるものの、首都ルサカを含むザンビア全体で子どもから大人まで愛好されている発酵飲料。落花生やビスケットをお茶うけに、もしくは友達とのおしゃべりのお供に楽しまれている。身体の調子が悪い時の食事代わりにもなる栄養ドリンク。

材料40~50人分

  • トウモロコシ粉(ザンビアでは英語で「mealie meal」と呼ばれることが多い)500-600g
  • ムンコヨ(munkoyo; 学名Rhynchosia venulosa)の根10本程度(1本:直径約1センチ×長さ約30センチ)
  • 22~23リットル

調理手順

1)鍋に水7~8リットルほど入れて火にかける。

2)水が沸騰したら、トウモロコシ粉を大人の片手で5~6すくい(1すくい100グラムほど)入れてかき混ぜる。

3)そのまま再び沸騰させて、強火で熱し続ける。鍋から中身があふれでない場合には、鍋に蓋をする。(時間が経つうちに白色から少しずつ黄色味がかる。)

4) 手順2から約1時間後、火から鍋を離し、1晩置いて冷ます。

5) 翌日、水を15リットルほど入れた別の容器に、ムンコヨを30分~2時間ほど浸したあと、ムンコヨを取り出す。(水は赤味のある茶色に変色する。)

6) 前日から冷ましておいた鍋の中身をかき混ぜてほぐす。

7) 鍋の底の焦げて黒くなっている部分も含めすべての鍋の中身を手順5の容器の水に入れる。

8) 移した鍋の中身と容器内の水がまんべんなく混ざるようにかき混ぜる。そのさい、塊がある場合はつぶす。

9) 容器に蓋をして、屋外の太陽の下に置く。

10) その翌日も、屋外の太陽の下に置き、朝と夕方に2度かき混ぜる。その翌々日も出来上がるまで同様のことを続ける。日中気温が高ければ、ムンコヨを浸した水を入れてから約2日後に、日中気温が低ければ、約4日後に飲める状態になる。色が茶色になることと、香りが変化することで飲める状態になったかを判断する。飲める状態になったときに塊が残っている場合は取る。場合によっては布を使って濾して、舌触りをなめらかにする。冷蔵庫に入れて冷やす。

11)冷やした状態で飲む。(飲むときに適宜砂糖を入れる。もしくは手順10で飲める状態になった段階で砂糖を入れる。)

フィールドメモ

このレシピはザンビアの北部の民族ベンバがつくる方法とのことだが、実際にレシピを教えてくれたのはベンバ人と結婚した東部の民族ンゴニの女性。彼女は首都ルサカで生まれ育ち、このつくり方は同じく東部の民族チェワ出身の祖母に習ったとのこと。よってここで紹介しているのは、首都ルサカでの作り方のひとつと考えてほしい。原料のトウモロコシ粉は、ザンビアで好まれている主食「シマ」の原料でもあり、ザンビア人にとって慣れ親しんでいる食材だが、地域によって原料は粗挽きのトウモロコシや、他の雑穀に変わる。発酵飲料のため、日数を置くと、炭酸ガスが増し刺激的な喉越しになるばかりでなく、アルコールも発生してくるため子どもには飲ませられなくなる。都市部の市場では自家製のこのドリンク(ニャンジャ語でムンコヨ、もしくはムンコーヨと呼ばれる)が販売されており、1杯(約350ml)1クワチャ(約10円)で購入できる。トウモロコシの粒々を舌先に感じるものの、飲み心地はさらっとしており、食欲不振に見舞われる陽射しの強い暑い日に最適の飲み物。

紹介者:大門 碧