エチオピア・コーヒーセレモニー

料理名(日・英・現地語)

エチオピア・コーヒーセレモニー

食されている国や地域

エチオピア(中部から北部)、エリトリア(南部)

この料理って?

エチオピアの北部から中部にかけての地域では、一日のうちに最低1回、またお客さんが来たときには必ず行われるコーヒーセレモニーです。出産や新年や祭日などにも重要な意味を持ちます。コーヒーを入れるのは女性の役割で、おいしいコーヒーをいれることが成人女性の必須条件になっています。

材料

  • コーヒー(生豆)一掴み20グラムほど
  • 砂糖お好みで
  • 容器に入る量 シニ4杯よりも多め×3回分
  • ポップコーン(乾燥トウモロコシ)
  • 塩(ポップコーン用)

【必要な道具】
コーヒー豆を炒る鉄板(フライパン、マンカシカシでもよい)
木の棒など(コーヒー豆を炒るときにつかいます)
コーヒーミル (現地では鉄の棒と木製の容器を使います。手作業でコーヒーを粉にします)

炭をたく容器
シニ(コーヒーを飲むカップ、エスプレッソカップよりも少し小さめ)
受け皿(シニとセットで)
スプーン
エタン:香木、または香木の樹脂
ジャバナ:コーヒーを煮出すツボ

調理手順

1) 炭に火を入れる。コーヒーの生豆のいい豆を選り分けて、ざっと水洗いする

2) 炭にコーヒー豆を炒る鉄板(フライパンやマンカシカシなどでも)をのせて、まだ鉄板が熱くならないうちから弱火でじっくり豆を炒る。かき混ぜながらじっくり全体が濃い茶色になるまで炒る。途中、コーヒーからいい香り(煙)が立ち上ってきたら、その香­りを客に嗅がせる。

3) ジャバナ(コーヒーを煮出すツボ)に人数分より少し多めの水を入れて、炭火にかける。コーヒーは鉄板から別の器に移して、粗熱が取れるまでしばらくおいてから粉にする。(エチオピアでは、日本で飲むよりもさらに細かいパウダーになるまで重たい鉄の棒でコーヒー豆を粉砕します。少女の細い腕ではこれが一番大変な作業です)

4) 壺のお湯が少し温まったら、コーヒーの粉を少しずつ壺に入れる。お湯が沸騰するまで炭火(少し強火)で煮出す。壺の口から沸騰したコーヒーが噴出してきそうになったら、いったん壺から4分の1くらいのコーヒーを大きめのマグカップなどに移し、それをまた壺の中にゆっくり戻す。これを数回繰り返して、じっくり時間をかけてコーヒーを煮出す。

5) マグカップにそそぐコーヒーが濃い色になったら、壺を炭からあげて、壺の口を下のほうに30度くらい傾けて置いておく。これはコーヒーを沈殿させ、粗熱を取るための作業。この間に、コーヒーカップやスプーンなどをきれいに洗う。小さな炭火を別の容器に入れ、そこにエタンをふりかけ、香りを部屋に充満させる。

6) 炭火に鍋をかけ、油を熱したらポップコーンのもととなる乾燥トウモロコシを入れてポップコーンを作る。これはコーヒーのお供(ブンコルス)となる。

7) 客の好みを聞いて各自の好みの量の砂糖をカップに入れる。大体5分から10分かけてコーヒーの粉が壺の中で沈殿したら、ゆっくり、そっとコーヒー(液体だけ)をカップに注ぐ。1杯目のコーヒーが一番濃い。

8) コーヒーを客に出したら、ジャバナに再度お湯を注ぎ、また炭火にかける。3,4,5、7の手順をこれから2回繰り返す。コーヒーセレモニーでは同じコーヒー粉で3回コーヒーを煮出す。1杯目はアウォルといい、とても薫り高い濃いコーヒー、2杯目(タウナ)は少し薄いコーヒー、3杯目(バラカ)はほとんど色もないコーヒーとなる。

9) コーヒーを出してもらった客は、作ってくれた人に「おいしいコーヒーです」とお礼をいう。


農村でのコーヒーセレモニーの様子


ジャバナからコーヒーをシニにそそぐ


エタン


コーヒーセレモニーを習う

フィールドメモ

町にはイタリア製のコーヒーマシーンがあるカフェもたくさんあるが、家ではやっぱりジャバナでいれたコーヒーを飲む。町のせわしない生活では2時間以上もかかるコーヒーセレモニーは週末にならないとゆっくり楽しめないが、一番濃くておいしい1杯目だけでもあわてて飲んで職場に出かける。町には通常のカフェとは別にジャバナでいれたコーヒーを出す店もある。土日や祝日に何人もの友人の家を訪問してしまうと、毎回コーヒーを3杯ずつ飲まなくてはいけないので、大変です。予定も大幅にずれ込みます。
  日本ではコーヒーをブラックで飲む人も、セレモニーの場合は1杯目の濃いコーヒーは砂糖なしでは飲めません。ほとんどエチオピア人はカップの底に沈殿するほどたくさんの砂糖を入れて甘くて濃いコーヒーを飲みます。

紹介者:眞城百華

ABOUTこの記事をかいた人

日本とアフリカに暮らす人びとが、それぞれの生き方や社会のあり方を見直すきっかけをつくるNPO法人「アフリック・アフリカ」です。