「すりおろす」は新しい調理法(タンザニア)

岩井 雪乃

「すりおろす」という調理方法を私がタンザニアで初めてみたのは、2007年のことだった。それ以前は「おろし器」という器具はお店で売っていなかった。新しい電化製品などが流入してくるのとともに、調理器具も新しいものが入ってくるようになったのだ。

その新しい器具を、村の女性がどのように使っているかというと、スープのコクを出すことに使っている。タンザニアの一般的なおかずは、トマトとタマネギをベースにしたスープだ。ここに、肉または魚を入れて、主食とともに食べる。このスープをよりおいしくするために、ニンジンとピーマンをすりおろして入れるレシピがおろし器の普及とともに広がっているのである。

トマトとタマネギは、これまでどおり手の上で切る

私の友人の中で真っ先におろし器を取り入れたのは、ママ・カサンダだった。彼女は、私の知っているママの中でも一番の料理上手で、彼女の家に泊まらせてもらっている時期はずいぶん太ってしまったものだった。

「ニンジンとピーマンが入るとスープがおいしくなるでしょう?」さすが、料理の達人は新しいトレンドに敏感だ。

トウモロコシのウガリ(練りだんご)ととり肉スープ

はたして、おろし器の可能性はタンザニアでどこまで広がるだろうか? 今のところ、ニンジンとピーマンをすりおろす以外の使い方は見ていないが、ママたちの創意工夫の展開に期待したい。

<関連レシピ>
とり肉スープ

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日本とアフリカに暮らす人びとが、それぞれの生き方や社会のあり方を見直すきっかけをつくるNPO法人「アフリック・アフリカ」です。