魅力的な小鳥(タンザニア)

八塚 春名

アフリカに住み始めた頃、
初めてその声を聞いた時はワクワクした。
初めて双眼鏡越しにその姿を見た時は嬉しかった。
そして、初めて食べた時はそのおいしさに驚いた。
色とりどりのきれいな姿、毎朝すてきな声で歌う小鳥たちは、男の子たちのかっこうの獲物であり、おやつである。

男の子たちは自転車のタイヤチューブのゴムをY字の小枝に巻きつけてパチンコを作る。これを使って石を飛ばすだけの単純な小鳥猟。簡単そうに見えるけど、私には出来ない。飛距離がまったく足りないし、命中もしないし、そもそもさっさと逃げられてしまう。そう。どんくさい私につかまってくれる小鳥なんていないのだ。でも男の子たちはさすが。「獲ってきてあげる!」と約束すると、必ずと言って良いほど確実に、私におやつを持ってきてくれる。

しとめた鳥の毛を手際よくむしり、台所のかまどへポイ。彼らの手つきは慣れたもんで、さっきしとめた小鳥は、ものの1分でかまどへ。きれいな小鳥もニワトリと同じ鳥。鳥肉も、鶏肉同様やっぱりおいしい。引き締まった鳥肉は、直火でこうばしく焼かれ、おいしいおやつへと変身する。もちろん小さな小鳥の体に肉なんてちょっとしかない。彼らはちょっとの肉をみんなで分け合って、小さく小さくなった鳥肉を味わうのだ。

こういう彼らのおやつ獲得業は、かわいい小鳥をしとめて食べるという残忍な行為に映るかもしれない。しかし、男の子たちはこの行為を通して鳥の種類、名前、習性、行動、さらに鳥が食べる植物の名前など、さまざまなことを勉強していく。そして彼らは自分たちがおやつとして食べる分しか獲らない。日本の子供にも、のびのびと野山を駆け回り、遊びを通して自分で食べ物を得る喜びを味わい、そして自然について学べるこんな機会があればいいのに、と思う。

小鳥は3つの魅力を持っている。きれいな姿、すてきな声、おいしい肉。

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日本とアフリカに暮らす人びとが、それぞれの生き方や社会のあり方を見直すきっかけをつくるNPO法人「アフリック・アフリカ」です。