おばあちゃん、もうすぐタンザニアへ帰ります(会報第18号[2020年度]巻頭言)
溝内克之 「マラハバって言ってくれたおばあちゃんやろ。」 4歳の長男に、タンザニアのおばあちゃんの訃報を伝えるとそう応えた。「マラハバ」とは、年長者への挨拶「シカモー」への応答の挨拶だ。2年ほど前、初めて私の調査村を訪れ…
NPO法人「アフリック・アフリカ」のホームページです
溝内克之 「マラハバって言ってくれたおばあちゃんやろ。」 4歳の長男に、タンザニアのおばあちゃんの訃報を伝えるとそう応えた。「マラハバ」とは、年長者への挨拶「シカモー」への応答の挨拶だ。2年ほど前、初めて私の調査村を訪れ…
大石 高典 新型コロナウイルスのパンデミックが続く中で、私が通い続けているカメルーン東南部の森の世界からも、政府やNGOなど様々な主体によって行われる予防対策の様子が現地の友人・知人からSNSで送られてくる(写真1)。 …
松浦 直毅 アフリカ熱帯林の狩猟採集民の村に長いあいだ住みこんで調査をしてきたので、私はこれまでにいろいろな種類の動物の肉を口にしてきた。最も頻繁に食卓にのぼるのはヤマアラシやオニネズミなどのげっ歯類で、ダイカー類などの…
岩井雪乃 2019年、過去最多のゾウによる死亡事件 活動地であるセレンゲティ県では、2019年は、ゾウに襲われて死亡する事件が過去最多となり、7名の被害者がでてしまいました。図を見てもらうとわかるように、セレンゲティ県は…
八塚春名(タンザニア) 2016 年 9 月のある日、朝からみんながゴミ拾いをはじめた。コーラやスプライトのペットボトル、ビールの空き瓶*、ビニール袋、ビスケットの包装袋、段ボール。それらを一か所に集めて燃やしていたの…
桐越仁美 2020年からアフリカに渡航できておらず、友人たちには長らく会えていない。安否確認も兼ねて、時折ニジェールやガーナの友人とWhatsAppやFacebookで通話をする。新型コロナウイルス(COVID-19)の…
牛久 晴香 「修理ができないほど、この地域は貧しいのか。」2010年のフィールドノートに、わたしが書いた文章だ。このころわたしはガーナ北部のボルガタンガ地方の村で住み込み調査をはじめたばかりだった。村を歩くと、あちこちで…
関野文子 熱帯雨林のキャンプでの夕食時、大きな声が響きわたった。私は、カメルーンに暮らす狩猟採集民バカの人たちを調査するために彼らとともに森のキャンプに滞在していた。その声の主は、バイさんという年配の男性だった。何かと思…
山口 亮太 コンゴ民主共和国の農耕民であるボンガンドという人びとの村に滞在していたときのことである。僕は、調査助手のジャンマリーさんに付き添ってもらって、道路沿いから少し藪の中に入ったところにある畑の広さを測りに行った。…
村津 蘭 ベナンの道を歩く多くの日本人は道端に落ちるゴミの多さが気になるようだ。同じ町に住んでいた日本人女性は「汚い、汚い」と道を歩く度に言っていた。確かに、買い物で使う黒いビニール袋や果汁が吸い尽くされたオレンジ、壊れ…
近藤 史 タンザニア南部ンジョンベ州の農村に通い続けて、かれこれ20年が経った。そのあいだに、彼の地では植林が盛んになり、はげ山の連なっていた丘陵が黒々とした森で覆われ、林業景気に沸いた。土壁に草葺き屋根の家々がみるみる…
溝内 克之 「検査の結果は、アメーバ赤痢。なにか変なもの食べたり飲んだりした?え、ムベゲ?街で買ったムベゲ。それが原因ね。街のムベゲは、キタナイからね。」 私を診察したタンザニア人医師は、日本人がバナナの酒ムベゲを飲んだ…
丸山 淳子 「そいつが来たら、ワンメタラ!ワンメタラ!ってやるんだって」と、電話口に、父さんの大きな笑い声が響いた。ボツワナのなかでももっとも辺境とよばれるカラハリ砂漠のはずれに、私が長年フィールドにしているブッシュマン…
松原 加奈 日本でもエチオピアでも、働く人びとが浮足立つのはやはり仕事おわりだと思う。エチオピアの革靴工場で朝から調査をしていると、終業の時間が近づくにつれ、仕事の終わる高揚感が労働者全員から伝わってくる。今回は仕事とプ…
河野 明佳 「大きなお金を手元に置いておくのは怖いから」そう言って、住み込みの家政婦として働いているジンバブエ人のメモリーさんは、ロックダウンが始まってから毎週、週払いのお給料を家族でも友人でもないある人に送金していまし…
眞城 百華 2020年3月13日エチオピアで最初のCOVID19の感染者が見つかり、驚くことに最初の感染認定者は日本人との報道が流れた。私は、同年2月中旬に10日ほどエチオピアに滞在し、その後、他のアフリカの国に行き別の…
佐藤 秀 伝道師の仕事 「父よ、あなたの慈しみに感謝してこの食事をいただきます。この大地の恵みを祝福し、私達の心と身体を支える糧としてください。聖霊の御名によって、アーメン。」 タンザニア・キリマンジャロ山麓の標高約1,…
松浦直毅 夏休みはたいていアフリカの森の中にいる。昼間は太陽がギラギラと照りつけるが、夜になると風がひんやりと心地良く、明け方には寒くなってシーツをかぶるほどで、日本の夏に比べたらずっと快適である。「アフリカの森で暮らす…
八塚春名 2020年3月16日。タンザニア第1号のコロナ感染者が出たというニュースを、わたしはタンザニア南部の町イリンガのホテルで聞いた。さっきまで一緒にいたレンタカーのドライバーさんに電話をしたら、「車のラジオでニュー…
新型コロナウイルス感染症によって、アフリカの人びとも大きな影響を受けています。 とはいえ、広い大陸ですので、日本に届くニュースは、極端な状況についての報道になりがちです。 そこで、私たちアフリックからも、アフリカの人びと…