第105回アフリカ先生報告(静岡県立大学国際関係学部、2021年5月12日)

伝統武術のグローバル化連続講演会「東アフリカでの柔道普及の記録:もみ殻、花柄、難民、五輪とバイタク」

溝内克之

2021年5月12日、静岡県立大学国際関係学部が企画する「伝統武術のグローバル化連続講演会」においてアフリカ先生を実施しました。「東アフリカでの柔道普及の記録:もみ殻、花柄、難民、五輪とバイタク」と題して行った今回のアフリカ先生では、私が1999年から行っている東アフリカのタンザニア連合共和国とウガンダ共和国での柔道指導の経験をお話ししました。

 

まず21年前、青年海外協力隊員としてタンザニアへ渡った私が畳も柔道着も十分に無い環境で、前転もできない生徒たちに泣きながら柔道を指導した2年間の経験をお伝えしました。次に夕焼けの花柄マット道場からスタートし、コンゴ民主共和国からの難民の若者たちと出会い、そして国際大会に参加するまでのウガンダでの柔道普及の経験を話し、「難民」という生き方、そしてクラウドファンディングについて私が考えたことをお伝えしました。最後に舞台をタンザニアへ戻し、「オリンピックに出ても飯は食えん!!」という現実と向き合う弟子たちとの取り組みについて話しました。10数年前、タンザニアの下町の道場で指導した少年たちは、大人になってからも柔道を続けてくれています。幸運にもその内の1人は2016年のリオデジャネイロのオリンピックに出場しました。しかし、オリンピアンとなった弟子を含め、多くの弟子は定職を持たず、柔道に専念できる状況ではありません。これまでも中等学校の卒業資格の取得の支援、警察官、刑務官となる進路の開拓などを行ってきましたが、最近では生徒にお金を貸し、バイクタクシーを開始させる実験を始めています。

 

当日、80人以上の同大学の教職員、学生の方々がオンラインで参加してくれました。質疑の時間では、多くの学生さんが積極的に質問をしてくれました。予定した講演時間を過ぎても多くの学生さんが残ってくれ活発な議論をすることができました。

 

 

 

 

 

(左)ウガンダの花柄マットの道場     (右)世界選手権東京大会の際の練習風景